logo

グループディスカッション 「書記」の役割とやり方とは?評価される議論のコツ

公開日:
最終更新日:

グループディスカッション(GD)とは?

就職活動における「グループディスカッション(GD)」とは、選考への応募者同士でグループを組み、制限時間内に企業から指定されたテーマに対して議論を行うというものです。

テーマは企業・業界の課題や社会の時事問題の解決、新規事業の企画などのこれといった正解が存在しないものが提示されることが多いです。

 

グループディスカッションは役割を決めて行うのが一般的であり、主な役割は司会、書記、タイムキーパー、発表者の4つです。

 

また議論の様子は採用担当者にチェックされ、選考のための評価材料となります。

議論する過程のみを評価材料にされる場合もあれば、議論でまとめられた結論を発表する必要がある場合もあります。

 

評価ポイントは企業や職種によって異なりますが、発言などの積極性、意見の説明の論理性、他者との協調性、発想力はどの役割を担当していても特に見られやすい点でしょう。

グループディスカッションの流れとは?

グループディスカッションは面接官からテーマの説明があった後、基本的には以下のような流れで進行します。

 

①自己紹介

②役割決め

③時間配分決め

④テーマの定義

⑤アイデア出し

⑥アイデアのまとめ・結論出し

⑦発表準備

 

①の自己紹介は「○○大学の△△です。本日はよろしくお願いいたします。」というような簡単なもので構いません。

 

②の役割決めでは、なるべく積極的に希望を発言しましょう。役割を持つことに消極的であると、低い評価をされてしまう可能性があります。

 

③の時間配分決めは必ず行うことをおすすめします。

討論は短い時間でテーマに対する結論まで導き出さなくてはなりません。それぞれの工程に目安となる時間を設けることで、工程に掛ける時間に悪い偏りが出る、時間が足りなくなるということを防ぐことができます。

 

①〜③の工程は、グループディスカッションの序章にすぎません。時間を浪費してしまわないように素早く行うようにしましょう。

 

④からがグループディスカッション本題の始まりになります。

 

まずは④テーマの定義を確認します。提示された抽象的なテーマを具体化し、メンバー間での認識の齟齬を解消することです。

 

例えば、「子供に人気の出るお菓子の商品を企画してください。」というテーマが出された場合、「子供」と聞いて小学生以下と認識する人もいれば、未成年は全て子供と捉える人もいるでしょう。

そのような認識の齟齬がある場合、メンバーによって論点がずれてしまい、効率的に議論を進められなくなってしまいます。

 

そのため、「今回は小学生以下を子供とする」というようにテーマ中の用語に対して定義づけをする必要があります。一番最初に行うことで、共通の認識を確認します。

 

⑤のアイデア出しはテーマに沿ったアイデアをとにかくたくさん出していく工程です。

ただし、自分ばかりが喋り過ぎて他のメンバーの発言機会を奪ってしまったり、他者の意見を否定することが無いようにしましょう。

意見の細かい良し悪しを気にするのは、まとめの段階からです。まずは多くの意見を出しましょう。

 

⑥アイデアのまとめ・結論出しは、たくさんのアイデアから良いものを見つけ、一つにまとめ上げる工程です。

これまでに出されたアイデアから、類似のものや組み合わせられそうなものを探すとまとめやすいでしょう。ここでテーマの結論を導きます。

 

⑦の発表準備は、発表者の結論への認識にずれが無いかを確認したり、発表の流れを決めたりする工程です。発表がある場合には、準備のための時間も確保しておきましょう。

 

グループディスカッション終了後は、面接官からのフィードバックがある場合もあれば、そのまま解散となる場合もあります。

 

グループディスカッションは流れや各工程で何をすべきなのかを理解し、意識して進めることで効率的に進めることができます。

事前に流れを確認し、チーム全体のまとまりも考え行動できるようにしましょう。

グループディスカッションにおける主な役割

司会

司会はメンバーの中心となり、議論を推進していく役割です。リーダー議長と称されることもあります。

 

出された意見を都度整理して議論を効率的に進めたり、発言の少ない人から意見を促したりと議論の方向性を見出し、周囲に配慮しながら時間内に結論が出せるように立ち回る必要があります。

 

メンバーの中心となる役割だからといって、自分の思うような方向性に議論を進めてしまうなど強引な面が見られると減点となってしまうので、注意が必要です。

あくまで皆が議論を進めやすく、結論を導き出しやすくするための手助けをする役割と捉えると良いでしょう。

 

リーダーシップや周囲を見渡して気を配る力、話を整理して捉えられる力など、他の役割と比べても必要とされるスキルが多く、特に難しい役割であると言えます。

書記

書記はメンバーから出た意見の要点をメモし、メンバーと共有することで議論の状況を整理しやすくする役割です。

話のスピードに置いて行かれないように要点を素早く掴み、他者が読んでも分かりやすいようにメモを取る必要があります。

 

またメモばかりに集中してしまい、自身が発言するということを忘れないように注意しなければいけません。書記は話の要点を捉える力を問われやすいでしょう。

タイムキーパー

タイムキーパーは議論中に時間を測り、メンバーに都度残り時間を知らせることでグループが制限時間内に意見をまとめるサポートをする役割です。

話の流れを強引に切らないようにタイミングを見極めて残り時間を伝える必要があり、メンバーへの気配りも重要となります。

発表者

発表者はグループでまとめた意見を採用担当者に分かりやすく説明する役割です。

そのため、議論の流れを捉え、出された意見に対する理解をしっかりと深める必要があります。

 

この役割では、物事を論理的に理解する力、順序立てて分かりやすく説明するプレゼン力が問われやすいでしょう。

 

発表者は複数人で担当する場合もあります。また発表の時間が無いグループディスカッションでは誰も担当する必要が無い役割です。

グループディスカッションでおすすめの役職は「書記」

グループディスカッションでは、進んで役割を担当することがプラスの評価に繋がります。

その中でも「書記」は難易度がそこまで高くなく、メモの内容を活かして上手く発言をすればアピールにも効果的なのでおすすめの役割です。

 

司会を担当した場合、議論の方向性を決める、複数の意見を整理してまとめる、発言の少ない人に意見を求めるなど最低限求められる仕事が多く、リーダー経験が無いと上手く立ち回ることは難しいでしょう。

また、発表者には物事を整理して分かりやすく伝えるプレゼンスキルが求められます。

 

それに対して、書記に求められる最低限の仕事は話を聞いてメモを取るという非常にシンプルなものです。

特別なスキルは必要無く、授業を聞いてノートにメモをまとめるという学生生活で行ってきた経験を応用することが可能です。

 

書記は常に目の届く場所に議論内容のメモがあるため、今までの議論の流れをいつでも振り返ることができるのもメリットと言えるでしょう。

 

これまでの議論全体を把握し、その中で論理の欠点を見つけ出すということが行いやすく、そこから指摘や欠点を補う発言に繋げることも可能です。

そうすることで、議論の全体をしっかりと見渡して整理ができているということを面接官にアピールすることができます。

 

以上のメリットから、グループディスカッションでは書記に積極的に立候補するのがおすすめです。

グループディスカッションの書記に求められること

要約力

他者の話を聞きながら、その全てを書き起こすということは困難です。

また無駄に長いメモは、短時間で議論を進めなければいけないグループディスカッションにおいては、不適切です。

そのため、書記には話の要点を掴んでメモを取ることが求められます。

 

上手く要約されていると、短時間で内容を理解しやすく、円滑な議論にも繋がります。

簡潔で誰が読んでも分かりやすいメモ作りを目指しましょう。

 

要約力は、言い換えると「ポイントを掴む力」と捉えることもできます。磨けば課題解決や企画など、社会人になっても大いに役立つスキルであると言えるでしょう。

本質の理解力

書記は議論中に出た全てのアイデアを手元にあるメモですぐに確認できるため、司会以上に全体の流れを捉えやすい立場にあります。

そのため、全体を俯瞰しながらメモを取り、司会に代わって議論の方向性が逸れていないかを逐一確認することが期待されるでしょう。

 

実際に方向性がずれた際に指摘するなど、司会を補佐するような仕事ぶりをアピールできるとより良い評価を得られるでしょう。

グループディスカッションで書記に向いている人とは?

並行作業が得意な人

先述の通り、グループディスカッションでは、発言などの積極性、意見や説明の論理性、他者との協調性、発想力がよく見られています。

 

これは書記も例外ではありません。

そのため、書記であっても他者の発言や議論の状況をメモしているだけで良いということはなく、しっかりと議論に参加し、良い評価を得るには発言することが必須となります。

 

書記は意見を考えることや発言することをメモと同時に行う必要があり、並行作業をすることが前提となる役割であると言えます。

よって、同時に2つ以上の作業を並行して行うことが得意な人は、書記に向いていると言えるでしょう。

高い集中力を持つ人

グループディスカッションの制限時間は、一般的には30分から1時間以内に設定されていることが多いです。

 

書記はその間、他者の発言を聞き逃すことなく、常に要点を捉えてメモを行う必要があります。

また時には自分で発言しつつ、それをメモするということをスムーズに行う必要も出てくるでしょう。

よって、書記は休む間も無く、時間いっぱい集中して役割を遂行しなければなりません。

 

そのため、長時間集中力を切らさずに作業を行えるような、高い集中力を持つ人が書記に向いているでしょう。

グループディスカッションでの書記のやり方・まとめ方

全ての意見をメモする

書記を担当する際には議論中の全ての意見に耳を傾け、それら全ての要点をまとめるようにしましょう。

他者の発言がよく聞き取れなかった場合には、しっかりと聞き返して、メモに抜けが無いようにしましょう。

 

メモは議論が停滞してしまったときや意見をまとめるときなどに、これまでの流れや意見を皆で確認するために重要なものになります。

また話が脱線してしまった場合にも、話の大筋がそれまでのメモの内容に表れているので、すぐに気付くことができるでしょう。

類似点や対立点を見つけたら書き込む

複数の意見の類似点や相反する対立点を見つけたら、それをメモするようにしましょう。

これらは全ての意見をメモし、いつでも議論全体を把握している書記だからこそ気付ける点です。

 

「類似点」の発見は、アイデアのまとめに入ったときに複数のアイデアを組み合わせたり、より良いアイデアを生み出す際に役立つでしょう。

また「対立点」は、議論が停滞してしまったときに提示することで、グループ全体に議論の新たな課題や問題点が共有され、議論が活発化することに繋がります。

 

書記ならではの気付きを積極的に発言することで、面接官からも良い評価を得やすくなるでしょう。

ロジックツリーにまとめる

ロジックツリー見本

出典:就活攻略論

 

メモを取るときには、アイデアをロジックツリー(樹形図)にまとめると自然と内容が整理されたかたちになるでしょう。

グループディスカッションにおけるロジックツリーは、一つの課題に対するアイデアを枝分かれさせ、いくつも書き連ねていくものです。

 

課題ごとに分類されたかたちでアイデアがまとめられるので、アイデアごとの関連が一目見て分かりやすくなります。

短時間に結論を出さなければいけないグループディスカッションにおいて、議論の現状の確認が容易に行えるので、おすすめのまとめ方です。

グループディスカッションの書記で選考を突破するためのコツ

メモを活かして積極的に発言する

グループディスカッションにおいては、書記はメモの内容を活かして積極的に発言することで、積極性をアピールでき、選考の突破に有利に働くでしょう。

 

前述の通り、書記はメモが常に自分の目の届く場所にあり、これまで出た全てのアイデアを誰よりも容易に確認できます。

そこから課題解決に対して足りていない部分を指摘したり、対立した意見を取り上げ、それに対する議論を活発化させたりと、議論全体をしっかりと把握できるからこその立ち回りが可能です。

 

書記ならではの立ち回りをすることで、他のメンバーとの差別化も図ることができ、より面接官の印象に残りやすくなります。

分かりやすいメモを作成する

メモはグループメンバーだけでなく、面接官も目にする場合があります。特にオンラインディスカッションでは、PC上で作成されたメモを画面共有などで他のメンバーや面接官が常に確認できるようにするのが一般的です。

 

そのため、しっかりと分かりやすいメモを作るということが議論を円滑に進めるだけでなく、直接選考に影響することがあります。

誰にとっても分かりやすいメモを書けるということは、物事の要点を掴むスキルが高いということや他者への気配りを十分に行えるということをアピールできるでしょう。

 

前述したロジックツリーを用いるなどして、明確に工夫が見受けられる、分かりやすいメモを作ることができるとより好印象を与えやすいかもしれません。

グループディスカッションで書記をやるときの注意点

メモは綺麗な字で見やすく書く

メモは綺麗な字で、議論の流れが分かりやすいように情報が並べられたレイアウトで書くようにしましょう。

メモは自分だけが後から見て分かるものであれば良いというものではありません。他者と共有するものなので、誰が見ても議論の流れが分かりやすいものになるように意識して書きましょう。

 

また特定の場所に置いてメンバー皆で一緒に見るということも考えられるので、少し離れていても読みやすいような文字の大きさで書くと尚良いでしょう。

紙とペンを必ず用意する

対面でのグループディスカッションでは、会場にホワイトボードが用意されている場合が多いですが、ホワイトボードがない場合は紙にメモするのが基本です。

またオンラインで行う場合も、リモート会議ソフトを使った画面共有やチャットの使用が許可されていない場合は、紙に書いたメモをPCのカメラで捉えて共有を行うことになるでしょう。

 

そのため、グループディスカッションを行う場合には、書記を担当することも考え、紙とペンは必ず用意しておきましょう。

オンライングループディスカッション(Zoom・Google meetなど)で書記をやるときの注意点

メモの共有を常にする

ZoomやGoogle meetなどを用いたオンライングループディスカッションで書記を担当する場合には、複数人で同時編集・閲覧を行えるオンラインドキュメント(文書)のGoogle docsなどを用いたり、自身のPCで作成しているドキュメントの画面を共有したりして、メモを常に共有すると良いでしょう。

 

そうすることで、全員が流れを把握しながら円滑に議論を進めることができるようになります。

ただし、これらの方法を行えるのは、面接官から画面共有やチャットでのドキュメントのURLの共有が許可されている場合のみです。必ず確認しましょう。

自分に合ったメモの方法を選ぶ

オンライングループディスカッションの場合、PC上でメモを書いても、紙にメモを書いてもどちらでも構わない場合が多いでしょう。

 

このとき、自分がやり慣れている方法を優先して対応しましょう。

例えば、PCのキーボードのタイピングが苦手な人がPC上でメモを取った場合、議論のスピードに置いて行かれてしまうという状況になりかねません。

 

また文字を書くのに自信がない人が手書きのメモを取ると、綺麗さに気をつけるあまり時間がかかってしまったり、逆に読みにくいものになってしまったりと、マイナスに働く場合があります。

上記のようなことにならないためにも、自分がより役割を全うしやすい方法を選ぶことが大切です。

 

監修者画像

監修者gen

1990年生まれ。大学卒業後、東証一部上場のメーカーに入社。その後サイバーエージェントにて広告代理事業に従事。現在はサイバーエージェントで培ったWEBマーケの知見を活かしつつ、CareerMineの責任者として就活生に役立つ情報を発信している。また自身の経験を活かし、学生への就職アドバイスを行っている。延べ1,000人以上の学生と面談を行い、さまざまな企業への内定に導いている。