【化学業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
公開日:
最終更新日:
出荷額や付加価値額、従業員数などでも日本を支えているのが化学産業です。
そんな化学を扱う化学業界の製品は、基礎化学品と機能性化学品に大きく分かれており、近年市場の大きい半導体や液晶ディスプレイなどには機能性化学品が用いられています。
規模も大きく堅調な化学業界は人気の業界の1つです。ESの書き方やポイントを押さえ、最初の選考を突破できるように対策していきましょう。
【化学業界研究|2023年最新版】ESの書き方から面接対策まで徹底解説!
化学業界を志望している学生必見!化学業界の市場規模や課題、インターン情報、大手代理店の採用傾向が一目でわかります。業界研...
目次
化学業界のES設問例
1就職活動あるいは日々の生活において大事にしている軸は何ですか?(2020年 旭化成)
2あなたが考えるあるべき社会人像とは、どのようなものか教えてください(2021年 信越化学工業)
3あなたの価値観に大きな影響を与えた「心に残る失敗経験」はなんですか?具体的な過去の経験を取り上げていただき、現在のあなたの価値観とどのように繋がっているか、お教えください。(2022年 東ソー)
4現在、研究以外で力を入れていることについてご記入ください。 ※就職活動は除きます。(2021年 住友化学)
5SDGsの17の目標のうち、最も共感する項目と、それを三菱ケミカルであなたがどのように実現するのかまたは実現に貢献するのか、そのためにあなたのどのような経験が役立つのか具体的に教えてください。(2021年 三菱ケミカル)
設問例1:大事にしている軸
この質問からは企業と学生がマッチしているかどうか知ることができます。
就職活動において大事にしている軸から学生が企業選びや働く上で大切にしたいことが伺えるのはもちろん、生活で大事にしている軸からも、学生が入社後にどのように働いてくれるのか想像することができます。
そのためできる限り仕事でも活かされそうな軸を伝えられると良いでしょう。
生活で大事にしている軸は様々ですが例えば、諦めない、相手の立場に立って考える、自分の頭で考える、挑戦する、誠実な行動などが考えられます。
就職活動での軸も、生活の軸も志望企業とかけ離れていないものを選ぶようにしましょう。
回答例
企業の雰囲気を知る手がかりには、求める人物像や理念、社員の声、実際のプロジェクトなどの企業HPの情報から、会社説明会やインターンシップ、OB訪問といったリアルな場があります。
設問例2:社会人像について
質問の意図としては企業との雰囲気が合っているか確認したい、人柄を知りたい、配属の参考などです。
自分がなりたい社会人という切り口で考えてみるのもおすすめです。
アルバイトとして働いた経験がある人でも、具体的な社会人像を描くのは難しいでしょう。
ESを書き始める時に考えるよりも、就職活動に本格的に取り組む前の段階から「どのように働きたいか?」「どんな社会人になりたいか?」を日々考えて行動しておくと言葉にしやすくなります。
回答例
私が考える、あるべき社会人像は「自己成長を続けられる人」です。なぜなら自分自身を成長させることは、会社への貢献にも繋がると考えているからです。
きっかけはアルバイト先で苦手だったバー業務のスキルアップに取り組んだ経験にあります。ドリンク作りに追われ接客の余裕が無いという課題がありました。乗り越えることができれば自分を成長させられると考え、物の配置や下準備の改善に取り組みました。
結果、ドリンク作りが早くなったことで心や時間に余裕が生まれ、接客にも力を入れられるようになりました。またお客さんからドリンクや接客について褒めて頂く機会が徐々に増えていきました。
最初は「スキルアップしたい」と考えて取り組んでいたことが、最終的には自分以外のお店やお客さんにも良い影響を与えられていたのだと実感した出来事です。これからも成長意欲を忘れず、貴社やお客様に貢献できる人材になるべく努めていきます。(392字)
部活やアルバイト先、ゼミの先輩、OB訪問先の社員、自分の家族など社会人として先輩となる人たちを参考にしてみると「あるべき社会人像」に出会えるかもしれません。
設問例3:失敗経験について
この質問では何を失敗と捉えるのか、過去の失敗が現在に活かされているのか知ることができます。
社会人として働いてからも失敗はつきものです。そんな時に学生が前向きに行動できるのか読み取ることができます。
失敗した時に起こした行動や気づいたこと、そして学んだことをどのように活かしているのかまで自己分析しておきましょう。
挑戦したからこその失敗経験なので、具体的に伝えられるとチャレンジ精神のアピールにもなります。
回答例
私の心に残る失敗経験は、アルバイト先でケアレスミスを立て続けに繰り返し、お客様にクレームを頂いたことです。
一緒に働くスタッフが料理やお客さまのフォローを何度もしてくれる姿を見て、自分で防げるミスはゼロにすると決めました。最も効果のあった対策は、注文の入力時、送信直前、送信後の3つのタイミングで入力にミスがなかったかトリプルチェックするということです。最終的にはミスをすると「珍しい」と言われるまでに改善することができました。
徹底した確認によってミスが減り、自分が確認できていると思い込んでいることに気付き、「思い込みを取り除く大切さ」を学びました。思い込みは強ければ強いほど、状況の改善に時間がかかったり、失敗した時の落ち込みに繋がるのだと考えています。
現在は対人関係や何かに挑戦する中で上手くいかない時、衝突しそうな時は「自分に非はなかったか」を問いかけるようにしています。(389字)
失敗した経験が今のあなたにどのような考え方をもたらしてくれたのか、という視点で考えてみると現在の価値観との繋がりがスムーズになるでしょう。
設問例4:研究以外で力を入れていること
この質問では学生が「自発的に力をいれていること」について問われています。伝えるエピソードによって学生の人柄が伝わります。
できれば単発的な取り組みよりも、続けて力を入れられている内容を選ぶようにしましょう。何をモチベーションに現在力を入れられているのか、なぜその取り組みに力を入れようと思ったのか、といった学生の価値観が伝わる内容を目指します。
そして力を入れていることから何を学べたのかまで振り返っておきましょう。
回答例
スイミングスクールでの水泳指導に力を入れています。継続したことによる達成感を味わった経験は、のちの学生生活や日々の生活の中で役に立つと考えているからです。
小学生を主に担当していますが、中には最後の1泳法が習得できず諦めてしまう子も少なくありません。そこで通い続けて習得できるよう、泳げない子でも練習が苦にならない指導方法を試行錯誤しています。
自分が泳ぎながら感じたことを指導に取り入れたり、自分の指導方法を他のコーチに体験してもらってアドバイスを受けたりしています。
徐々に4泳法を泳げる子が増えてきており、子供たちの笑顔が大きなやりがいとなっています。他のコーチに自分の指導を受けて感じたことを伝えてもらった言葉には新しい発見が多く「他人の意見を取り入れる」大切さを感じています。
入社後、物事がスムーズに進まないような時には、周囲の人を頼りながら新しい意見を積極的に得て業務にあたっていきたいです。(399字)
「力を入れている理由」や「具体的な行動」を中心に考えてみると、「研究以外で力を入れていることがない」という人でも魅力を伝えられるエピソードが見つかるでしょう。
設問例5:実現したいこと
入社後のビジョンが描けているか、志望企業の業務を理解しているか、企業研究をおこなっているか把握することができます。
入社してから企業でやってみたいことは何か考えておきましょう。
そのうえでSDGsの目標と関連付けて回答します。SDGsの目標がいまいち理解できていない時はあらかじめ調べておくようにしましょう。
SDGsについては、ほとんどの企業で関連する取り組みが行われています。
自分なりの回答を持っていることで、SDGsに対する当事者意識を伝えることもできるでしょう。
回答例
「気候変動に具体的な対策を」に共感し、これを実現するために「環境に優しい最終製品の誕生」に貢献したいです。
気候変動への対策の1つとして、二酸化炭素排出量を減らしていくことは世界の課題です。素材の持つ力は大きく、多くの製品に様々な形で使われており、たくさんの可能性を秘めています。
そこで私は二酸化炭素排出量の少ないモビリティの誕生に、素材の力を提案することによって気候変動対策の一助となると考えています。日本の化学企業として売上高トップの貴社だからこそ、世界にも大きな影響を与えられると確信しています。
ゼミではシートベルトを手がける企業の経営戦略についてを研究していますが、飲料メーカーなどと比べると得られる情報が少ないため、常にいろんな角度から調べる癖がつきました。
環境に配慮した製品を開発し、気候変動を食い止めるためにも「様々な視点で考える力」を活かし、多彩な提案のできる人材として貢献していきたいです。
過去のプロジェクトや今後の方針をHPで調べてみると、企業でやってみたいことの言語化に役立つのでおすすめです。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
1強み:あなたの強みは?
⇩
2強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
⇩
3強みを表す具体的エピソードは?
⇩
4強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
⇩
5強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
- 注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
- 学生時代に頑張ったことと混同しないこと
- 書き出しと締めの部分を意識すること
化学業界はどんな人材を求めているのか
- 新たなことに挑戦できる人
- チームワークを大切にできる人
新たなことに挑戦できる人
地球温暖化にともなうエネルギー問題や、原油価格の高騰など化学業界を取り巻く環境は大きく変化しています。また日本の化学企業は国際競争力を高めていくため、機能性化学品の強化や新しい分野の開拓などが必要です。
化学業界では挑戦に対して積極的な人材が求められています。
学生時代に「難しいことに挑戦した」「高い目標に挑戦した」「新しいことに挑戦した」などの「何かにチャレンジした経験」をES内で触れられると良いでしょう。
チャレンジ精神に加えて、挑戦時に求められる「粘り強さ」や「タフさ」のアピールにも繋がります。これらは働くうえでも非常に大事な要素です。
挑戦した経験についてまとめる時は、「挑戦する際には何を考えて取り組んでいたのか」「なぜ挑戦しようと思ったのか」「取り組んだ結果どうなったのか」といった感情と実際の行動を併せて棚卸しするのがおすすめです。より説得力のある内容に仕上がります。
また挑戦する中で壁にぶつかった時に考えたことや実際の行動も振り返っておきましょう。失敗したり挫折したりしたときの対応力を伝えることができます。
チームワークを大切にできる人
1人の力だけでは新しいものを創り出したり、環境の変化に対応できる製品や技術を開発したりすることはできません。社内での部署を超えた協力や、社外の人との協力が必要不可欠です。
単独行動を好む人よりも、周囲の人たちを大切にしながら、チームとしての連帯を尊重できる人が求められます。
ESを通じてチームでの行動ができる人であるとアピールしましょう。
「チームに対して自分がどのように貢献していたのか」が伝えられると、入社後の働く姿のイメージにも繋がります。
例えばチームをまとめる、リーダーやチームメンバーのサポートをする、チーム内の円滑なコミュニケーションの手助けをする、など様々な役割が考えられます。
チームとしての行動を思い返すのが難しい時は、自分が対人関係で大切にしていることと関連したチーム内での行動は何か考えてみましょう。
世界のトップ企業では機能性化学に力を入れるようになった企業も多く、日本の化学企業の在り方にも変化が起きるかもしれません。
地球環境や原油価格なども含めて周囲が大きく変化している化学業界では、未知への挑戦を楽しむ力やチーム力が必要です。
また化学業界は地球の環境問題にも深く関わっています。社会や地球に対する視点を持っておくと、より魅力的なESになるのではないでしょうか。
化学業界の選考を考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。