【アニメ業界研究|2023年最新版】ESの書き方から面接対策まで徹底解説!
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「アニメが好き」と考える学生が最初に検討することが多いアニメ業界。
幼い頃からアニメには触れていますが、仕事やアニメを取り扱う企業などイメージしづらい業界の1つと言えます。
タフさも求められる業界なので、業界研究を深め、アニメ好きという点以外にもアニメ業界を志望した理由を明確にしてから選考に臨みましょう。
また、アニメ業界に関連する業界や企業は多く存在します。
以下の記事で関連する業界を詳しく紹介していているので、ぜひチェックしておきましょう。
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目次
アニメ業界とは
アニメ業界の仕組み
アニメを取り扱うアニメ業界ではさまざまな会社が絡み合っています。
アニメはテレビで放映されるテレビアニメと、映画館で上映される劇場用アニメに大きく分かれますが、アニメを制作するにあたって必要とされる仕組みは同じです。
アニメ業界の基本的な構造として、まずはテレビや劇場で流すアニメの企画を行い、制作するために資金を調達します。
集まった資金を元にアニメが制作され、完成したアニメはテレビで放映されたり、劇場(映画館)で上映されたりするのです。
そしてテレビや映画館での上映・放映以外にも、DVD化やグッズの商品化、アニメをゲームやパチンコなどに展開する二次利用もアニメ産業の市場を支えています。
アニメに関われる仕事を広く捉えた場合、選択肢は多岐にわたるといえるでしょう。
アニメの制作資金
アニメの制作には巨額の資金が必要とされます。
資金を調達する方法としては「広告収入方式」と「製作委員会方式」の2つに分けられます。
広告収入方式
広告収入方式はかつて主流だった方法で、スポンサーが広告代理店に支払う広告費が資金源になるものです。
スポンサー企業とテレビ局を仲介するのは広告代理店です。
テレビ局は集まった資金を使ってアニメ制作会社にアニメ制作を頼み、アニメが完成後は、広告費を支払った企業の商品の広告を流します。
流れた広告によってスポンサー企業の商品を視聴者が購入することが見込まれます。
また広告収入方式の場合、著作権は元請けのアニメ制作会社が保有することができるというメリットがあります。
アニメ制作会社は権利を使い、グッズの商品化などからも利益を得ることができるのです。
広告収入方式によるアニメ作品の例としては、「名探偵コナン」「ドラえもん」などが挙げられます。
製作委員会方式
現在のアニメの多くは製作委員会方式で作られています。
製作委員会とはアニメを製作する際に、共同して出資する複数の企業の集まりを指します。
製作委員会を立ち上げる理由はリスク分散です。
アニメを作るには巨額の資金が必要となり、30分アニメの1話分でも数千万円、劇場用のアニメでは億単位のお金がかかります。
多額の費用を投じても作品が失敗に終わった場合、大きな損失を被ります。
そのため製作委員会を設立し、複数社で費用を負担することがリスクの分散につながるのです。
製作委員会に参加する企業は、発生した利益や権利を分け合うことになります。
アニメに関連する会社
基本的にはテレビ局や映画会社、広告代理店、制作会社、玩具メーカーなどがアニメを企画します。
そして企画した会社が出資したり、スポンサーに出資してもらったりすることで、アニメ制作に必要な資金を用意し、資金を元手にアニメを制作しているのです。
映画会社
映画会社としては「東宝」「東映」「松竹」などが主要な企業として挙げられ、大手3社とされています。
最近では「クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」を配給するのは東宝、「劇場版 美少女戦士セーラームーン Eternal」の配給が東映、「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の配給を行なったのは松竹となっています。
ちなみにアニメ制作会社である東映アニメーションは、東映の子会社です。
広告代理店
広告代理店はスポンサー集め、放送枠の買い切り、企画などさまざまな角度からアニメに関わります。
例えば、テレビ局から放送枠を買い切ってそこで流すアニメを企画、スポンサーを探して資金を集め、アニメ制作会社に発注するという流れです。
代表的な企業としては「電通」や「ADK」が挙げられます。
特にADKはアニメに力を入れており、ドラえもんやクレヨンしんちゃん、ワンピースなど多くの有名作品に関わっているのです。
また電通は2018年に、サンライズなどの有力アニメスタジオ9社と連携しています。
制作会社
実際にアニメの制作に関わっているのがアニメ制作会社です。
アニメ制作は1社で行うのではなく、元請け制作会社や下請け制作会社に分かれていたり、細かい作業ごとに分担されていたりします。
有名なアニメ制作会社としては「東映アニメーション」「サンライズ」「シンエイ動画」「トムス・エンタテインメント」「スタジオジブリ」「Production I.G」などが挙げられます。
他にも玩具メーカーはアニメと関連したおもちゃが売れたり、出版社は原作のコミックの売れ行きに良い影響を受けるなど、アニメと関わる会社は多いです。
アニメの制作工程
(出典:AREA JAPAN、画像作成:CareerMine)
アニメが完成するまでの流れは大きく3段階に分けられており、「プリプロダクション(プリプロ)」「プロダクション」「ポストプロダクション(ポスプロ)」となっています。
制作工程は細かく分けられますが、下記ではアニメ制作の流れを簡単にご紹介します。
プリプロダクション(プリプロ)
最初の段階は「企画」です。
絵を描いたり、色を付けたりといった実制作に取り掛かる前の段階からアニメ製作は始まっています。
例えばオリジナルアニメにするのか、原作のあるアニメにするのかといったことから、予算の設定、完成したコンテンツを使ってどのように利益をあげるのか、などを企画します。
そして「シナリオ・脚本」の段階で、シリーズの構成を考えたり、ストーリーやセリフなどを考えていきます。
登場するキャラクターや背景などの「設定・デザイン」も最初の段階で決めておきます。
その後「絵コンテ」と呼ばれる作品の設計図のようなものが作られます。
これまでの段階で決まった内容をイメージしやすいよう作品の流れが絵で表されており、セリフのタイミングやカメラワークなどの指示や、カットの説明が盛り込まれています。
プロダクション
プロダクションでは実際にアニメ制作に入っていきます。
絵コンテを元にそれぞれの場面の「レイアウト」を決めていきます。
どの位置に人物を配置するのか、アングルはどうなっているのかなど具体的な画面がレイアウトで描かれます。
レイアウトが決まったら「原画」という工程に進み、各シーンのポイントとなるカットを描いていきます。
そして原画をもとに各原画を繋ぐ「動画」という作業があります。
スムーズな映像となるよう大量の動画を描いていくのです。
レイアウトや原画、動画は「作画」とも呼ばれ、長年アナログな作業でしたが、近年デジタル作画が用いられることも増えてきています。
作画された絵に色をつけていく「仕上」が行われます。
他にもアニメーターが絵を描くのと同時に、「背景美術」では背景画を作成していきます。
アニメーターが描いた絵や、背景美術の段階で作成された背景画などたくさんの素材を合成する「撮影」が行われ、映像に表現を加える「特殊効果」もこの段階で行われます。
ポストプロダクション(ポスプロ)
「編集」段階では、声優による「アフレコ」やBGMを追加したり、完成した映像を切り貼りして作品をまとめます。
上記の段階を経て完成した作品がテレビや映画館などで放映・上映されるのです。
アニメの二次利用
完成したアニメ作品には様々な権利が付随しています。
商品化権、映画化権、テレビ放送権、出版権、ゲーム化権、配信権などです。
そして製作委員会に参加している企業はこれらの権利を保つことができます。
出資した企業は権利を保有することで、ロイヤリティーを得られるのです。
例えば権利を持っていない企業がアニメに関連したグッズを作ったり販売したりする場合、権利を持っている企業などにロイヤリティーを支払います。
人気アニメであればあるほど、関連商品が売れるため、お菓子やおもちゃ、文房具、アパレルなど、アニメが使われた商品は増えます。
中には商品が売り切れてしまい、入手困難な状態になるほどの人気を見せることも。
商品化以外にも人気アニメのパチンコ台の登場やゲーム化など、放映・上映以外の場面でアニメ作品は大きな利益を生み出してくれます。
2020年時点でアニメ産業市場(エンドユーザー売上)は、アニメ業界市場(製作・制作会社売上)の約9倍以上となっており、アニメ作品が生み出すお金の大きさが伺えます。
ブームを起こした鬼滅の刃は、アニメの人気が原作漫画や関連グッズの売れ行き、使用された音楽などにも影響を及ぼした分かりやすい一例です。
アニメ業界における仕事
アニメに関わることができる場面はたくさんあります。
例えばアニメ制作会社、テレビ局、映画会社、出版社、ビデオメーカー、広告代理店、玩具メーカーなど、その他にも様々な企業でアニメに関わることは可能です。
アニメに関わる企業は幅広いですが、実際にアニメ制作に携わる仕事の一部を紹介していきます。
プロデューサー
アニメの企画立案から資金調達、予算管理、宣伝、スケジュール管理、スタッフィングなどあらゆる責任を持っており、作品を統括するポジションです。
完成したアニメが利益を生み出せるよう導く必要があるので、ビジネスに関する力も求められます。
また社内外の多くの人と関わる仕事なので、対人スキルは必須です。
アニメ制作会社で制作進行としてキャリアをスタートさせ、制作デスク、プロデューサーとキャリアを積んでいくことが多いです。
制作進行
アニメ制作工程の管理を行うのが制作進行の仕事です。
アニメーターのように実際に絵を描いたり、動きをつけたりといったクリエイティブな業務は行いません。
素材の発注や管理、スケジュール、人材の管理などあらゆる工程に携わり、制作進行の仕事は作品のクオリティに大きな影響を与えます。
アニメの制作は細かく工程が分けられており、それらのセクション全てとコミュニケーションを取る必要があり、業務が多岐に渡っているのが特徴です。
そのためコミュニケーションスキルが重要視されています。
キャリアアップして演出やプロデューサーの道を目指します。
作画
作画は作品の絵を描く仕事でアニメーターとも呼ばれています。
魅力的な映像を作るための画力が求められる仕事です。
作画は「原画」と「動画」に分かれており、アニメーターは動画からキャリアをスタートさせます。
原画の担当者はアニメのポイントとなる原画を描いていくのが主な仕事です。30分アニメで200〜300カットもの原画を描きます。
かつては紙に描くのが主流でしたが、近年はタブレットを使って描く人も増えているようです。
動画では完成した原画を元に、原画と原画を繋ぐ絵を描いて動きを与えていきます。
動画を経験したのちにキャリアアップして原画担当になるのが一般的です。
アニメ業界の市場規模
市場規模推移
狭義のアニメ市場
アニメ産業市場の推移(出典:日本動画協会、グラフ作成:CareerMine)
日本動画協会の資料によると、商業アニメ制作企業の売上は、テレビアニメの制作売上やアニメ作品の放映収入といったテレビの割合と、海外ライセンス収入の割合が大きいようです。
2015年頃から海外売上の占める割合が増加してきており、かつてはテレビの半分以下でしたが徐々に増加し、近年はテレビの割合と同程度にまで成長しています。
広義のアニメ市場
アニメ産業市場の推移(出典:日本動画協会、グラフ作成:CareerMine)
日本動画協会の資料では、ユーザーが支払った金額を推定したアニメ産業市場を広義のアニメ市場としています。
内訳を見てみると、海外でのアニメ関連の消費が最も多く、ついで大きいのはアニメ関連商品の商品化となっています。
制作企業では商品化による売上の割合は、テレビでの売上よりも少なかったですが、アニメ産業市場ではテレビの7倍近くもの売上を出しています。
アニメ市場で存在感を見せているのが配信市場です。
2010年のアニメ産業市場で149億円だった配信市場は、2020年には6倍以上の930億円にまで成長しています。
ちなみに海外の市場は約4倍に成長していました。
アニメ業界の現状・動向
コロナ禍におけるアニメ産業市場の動向
2020年のアニメ産業市場は2兆4,261億円で、前年比96.5%でした。
日本動画協会の「アニメ産業レポート2021」によると、アニメ産業市場を構成する9つのウィンドウ(メディア)の中で堅調に推移した項目の1つが「配信」でした。前年比135.8%となっており、続いて「海外」が前年比103.2%でした。
配信は映像配信サイトのアニメ配信売上の合算で、海外については、海外におけるアニメ関連の消費の数字です。
海外市場がアニメ産業市場において最も大きな割合を占めていますが、次に大きな割合を占めている「商品化」は前年比99.2%で、コロナ禍でありながらほぼ前年と同程度でした。
最も打撃を受けた項目が「ライブ」で、前年比34.4%でした。また残りの5項目の前年比は80%台だったとのこと。
アニメ産業市場全体を見た場合は新型コロナウイルスの影響を大きく受けていないように見えますが、メディアによって大きく差が開いていたことが分かります。
コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えた人も多く、NetflixやAmazonプライムビデオのような定額制動画配信サービスがさらに普及しました。
ネット配信を活用してアニメが見られる機会が増えたようです。
アニメが生み出す経済効果
商業アニメ制作企業の2020年の売上は推定2,744億円ですが、エンドユーザーがアニメ関連商品やライブ等の二次利用も含めて支払った金額は、2兆4,261億円と推定されています。
アニメ産業市場規模は、アニメ制作企業の売上の約9倍とされており、アニメが生み出す経済効果は大きいです。
アニメに登場するキャラクターを使用したグッズの販売や、2.5次元ミュージカルなどのライブエンタテインメント、アニメを使ったパチンコ・パチスロ台など、アニメの放映・上映以外のビジネスには様々な著作権が関係しています。
大きな収益をもたらしてくれる権利を得るために、企業は出資するのです。
アニメ業界の歴史
アニメ映画
国産のアニメーションが最初に制作されたのは大正時代初期の1917年。当初は短編のアニメ映画が多かったそうです。
ディズニーは1923年に創業し、「ミッキーマウス」や「花と木」などの短編作品を作っていましたが、1937年に世界初のカラー長編アニメーション映画である「白雪姫」を公開しました。
日本では長編のカラーアニメがなかった中で東映動画(現・東映アニメーション)株式会社が1956年に設立され、1958年には「白蛇伝」が日本初の長編カラーアニメーション映画として公開されました。
テレビアニメ
日本のテレビアニメが盛り上がるきっかけとなったのが1963年の「鉄腕アトム」であり、日本最初の長編テレビ用連続アニメです。
鉄腕アトムの制作に携わった虫プロダクションは、漫画家の手塚治虫が設立しました。
アメリカではディズニーなどによって一足先に確立していた、商品化権収入というビジネスモデル。
鉄腕アトムは日本での商品化権ビジネスの確立に一役買った作品であると言われています。
鉄腕アトムに登場するキャラクター「アトム」を使った様々な商品が誕生し、虫プロダクションは大きな商品化権収入を得たのです。
アニメ業界におけるトレンド・話題
2020年のブーム「鬼滅の刃」
鬼滅の刃とは2016年2月から2020年5月まで、週刊少年ジャンプにて連載されていた作品です。
2019年4月から9月までの放送されたテレビアニメをきっかけに作品への人気が高まり、一躍ブームを引き起こしました。
2020年の流行語大賞トップテンにもランクインしています。
単行本の発行部数は現在1億5千万部を突破していますが、アニメ放送前は約350万部だったそうです。
2020年10月16日に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」の興行収入は400億円を超えており、これまで19年間にわたり興行収入ランキング1位だった、ジブリ作品『千と千尋の神隠し』の興行収入316.8億円を73日間で上回りました。
「鬼滅の刃」の影響力
第一生命経済研究所の試算では、「鬼滅の刃」による経済効果は2700億円に上るとのこと。
テレビアニメからブームに火が着き、原作漫画の単行本の売上げや、劇場版アニメの興行収入以外にも、関連したグッズや商品も大人気となっていました。
大人気作品ということもあり、コラボ商品も幅広いです。
例えばお菓子の「ビックリマンチョコ」「ぷっちょ」「キシリトールガム」、コーヒー缶の「ダイドーブレンド」がコラボ商品を販売していました。
コンビニではローソンがクリスマスケーキやおせち、「からあげクン」などで鬼滅の刃とコラボしています。
その他にもコスメブランド「Saborino」は限定デザインのシートパック、アパレルでは「GU」、飲食店では「くら寿司」、テーマパークでは「USJ」などのように、あらゆる場面で鬼滅の刃が関連した商品を目にしました。
アニメがヒットすれば放映・上映以外でも、大きな利益を生んでくれることが伺えます。
アニメ業界における主要企業の解説
東映アニメーション株式会社
社名 |
東映アニメーション株式会社(TOEI ANIMATION CO., LTD.) |
設立 |
1948年(昭和23年)1月23日 |
本社所在地 |
〒164-0001 東京都中野区中野四丁目10番1号 中野セントラルパーク イースト5階 |
資本金 |
2,867百万円 (2021年3月末現在) |
従業員数 |
[連結] 819名 [単体] 526名(2021年3月末現在) |
平均年収 |
758万円 ➡︎詳しくは「年収チェッカー」をCHECK! |
事業内容 |
映像製作・販売事業 版権事業 商品販売事業 その他事業 |
1948年に日本動画(株)として設立しました。
アニメを企画・製作し、メディアで展開する「映像製作・販売事業」は売上の36%です。
最近では「映画プリキュアミラクルリープ」「ONE PIECE STAMPEDE」「ゲゲゲの鬼太郎」「おしりたんてい」などのアニメに携わっているのが東映アニメーションです。
「Netflix」や「Amazonプライム・ビデオ」などに映像配信権を販売しています。
アニメに登場するキャラクターを使用したおもちゃや文房具などの商品を作る際に必要な権利による版権事業も行っており、売上の54%を占めています。
映像製作・販売事業よりも売上の大きい事業です。
株式会社バンダイナムコフィルムワークス(元サンライズ)
社名 |
株式会社バンダイナムコフィルムワークス Bandai Namco Filmworks Inc. |
設立 |
1976年11月 |
本社所在地 |
〒167-0051 東京都杉並区荻窪4-30-16 藤澤ビル ホワイトベース |
資本金 |
3億円 |
従業員数 |
542人 ※2022年4月1日現在 |
平均年収 |
1121万円 ➡︎詳しくは「年収チェッカー」をCHECK! ※(株)バンダイナムコホールディングスとして登録 |
事業内容 |
映像作品の企画・製作 著作権・版権の管理運用 映像関連商品の企画・販売 映像関連サービスの企画・開発・運営 |
バンダイナムコグループの(株)サンライズを存続会社とし、バンダイナムコアーツの映像事業、バンダイナムコの3社が統合。
2022年4月から社名が「(株)バンダイナムコフィルムワークス」になっています。
サンライズの歴史は長く、1972年に当時の虫プロダクションから独立した有志によってアニメ制作会社株式会社創映社が設立。
サンライズに社名変更されたのは1987年です。
「機動戦士ガンダム」「ハイドライバーズ」「ラブライブ!」「コードギアス」「犬夜叉」などがサンライズの作品として挙げられます。
作画塾・美術塾という、入塾後、試験に合格した人を雇用する取り組みも行っています。
株式会社IG Port
社名 |
株式会社IGポート(IG Port, Inc.) |
設立 |
創立:1987(昭和62)年12月15 |
本社所在地 |
〒180-0006 東京都武蔵野市中町2-1-9 |
資本金 |
781百万円 |
従業員数 |
(連結)365名 |
事業内容 |
グループ会社の経営管理 |
IG PortはウィットスタジオやProduction I.Gをグループ会社に持ち、ジャスダック証券取引所に上場している会社です。
映像制作事業の他に出版事業や版権事業、その他事業を展開しています。
売上に占める割合が最も大きいのは映像制作事業です。
「進撃の巨人」「ハイキュー!!」「攻穀機動隊」「宇宙戦艦ヤマト」「黒子のバスケ」などのシリーズに関わっています。
2021年5月期のタイトル別版権売上高構成を見てみると、「The Beginningシリーズ」「GREAT PRETENDER」の割合が大きく両者合計で35%となっています。
株式会社トムス・エンタテインメント(TMS)
社名 |
株式会社トムス・エンタテインメント TMS ENTERTAINMENT CO., LTD. |
設立 |
1946年10月 |
本社所在地 |
〒164-0001 東京都中野区中野3丁目31番1号 |
資本金 |
1億円 |
従業員数 |
238名(2022年3月末現在/単体) |
平均年収 |
744万円 ➡︎詳しくは「年収チェッカー」をCHECK! ※どちらもセガサミーホールディングス(株)として登録 |
事業内容 |
アニメーション作品の企画・制作・販売・配給および輸出入 |
TMSは1946年に名古屋で旭一編織(株)として設立しました。
トムス・エンタテインメントに名称が変わったのは2000年のこと。
現在はセガサミーグループの会社です。
アニメーション制作事業に加えて、映像ライセンスビジネスやマーチャンダイジングビジネスも行っています。
公式通販サイト「トムスショップ」では、TMS作品のフィギュアやDVD、ポストカード、ステーショナリー、缶バッジなど様々な商品を販売しているようです。
TMSの作品は「名探偵コナン」「それいけ!アンパンマン」「ルパン三世」「弱虫ペダル」「フルーツバスケット」などが挙げられます。
アニメ業界における主要企業の採用動向
東映アニメ
- 正解がわからなくても自分で考え動ける人
- 苦しく困難な局面でも諦めずに頑張れる人
- 自分から周囲に働きかけ、支援や協力を得られる人
- 考えが異なる人とも、関係を築きながら学んでいける人
- アニメをビジネスとして捉えてグローバル展開ができる人
東映アニメーションの経営理念は「世界の子どもたちと人々に『夢』と『希望』を与える“創発企業”となることを、目指す」となっており、「グローバル」がポイントとなる企業であると言えます。
まずはアニメを世界に広げていきたいなど、アニメと世界に関する思いがある人は積極的に伝え、考えるに至ったきっかけなども話せるようにしておくと良いでしょう。
またビジネスを展開するためには、自分一人ではなく、周囲の人たちともしっかりと関係を築きながら挑戦しなければなりません。
学生時代に他人を巻き込んで何かを行なった経験がある人は、強みとなるでしょう。
また周囲と関係を作り上げる際に、自分が意識していることを話してみるというのも、チームを大切にしていることが伝わるのではないでしょうか。
バンダイナムコフィルムワークス(旧:サンライズ)
- コミュニケーション力・向上力・活力のある人
- 夢や熱意ある人
サンライズ作品の多くがオリジナル作品だそうで、オリジナルのものを作りたい、ゼロから生み出せるサンライズに魅力を感じたという声が複数見受けられました。
そして社員が働く拠点を「ホワイトベース」と呼んでおり、既成概念にとらわれず真っ白な気持ちでチャレンジし続ける仲間が集う場所にしたい、という気持ちも込められているそうです。
またサンライズのアニメは歴史が長い作品が多い点も魅力です。
これまでにないアニメを生み出して世界に広げていきたい、長く愛される作品に携わって感動や夢を与えたい、と考える人にマッチしているのではないでしょうか。
アニメ業界の採用スケジュール
東映アニメーション
〜23卒、芸術職の場合〜
エントリー:5月9日(月)締切
ES提出:5月11日(水)必着
■進行職
一次面接・適性検査:6月下旬
最終面接:7月中旬
■演出助手・背景美術・色彩設計
実技試験・適性検査:6月下旬
一次面接:7月下旬
最終面接:8月上旬
東映アニメーションの新卒採用では、マイページ登録時に総合職と芸術職のどちらかのコースを選ぶことになります。
なお総合職と芸術職の併願はできません。
芸術職では演出助手、背景美術、色彩設計、進行職の募集要項が2022年3月時点で公開されており、アニメーターについては近日中に公開されるとのこと。
また総合職は正社員、芸術職は契約社員での募集です。
芸術職ではESと面接、適性検査に加えて指定課題と実技試験が課される職種もあるので、気をつけましょう。
バンダイナムコフィルムワークス(旧サンライズ)
〜23卒の場合〜
書類選考
1次面接
筆記試験
最終面接
採用決定
2022年3月までは(株)サンライズという社名だったバンダイナムコフィルムワークスでは、制作進行と営業の職種を正社員として募集しています。
ESは企業指定書式に写真貼付をして提出するようです。
既卒者は職務経歴書も提出書類に含まれています。
面接はグループ面接ではなく、個人で行われます。
採用求人ではありませんが、作画塾というものがあります。
選考に合格すると塾生になり、1年間の実習を受けて、卒業試験に合格すれば契約社員アニメーターとして雇用されるという流れもあるようです。
Production I.G
〜23卒クリエイティブ職の場合〜
■アニメーター
応募締切:7月15日必着
一次試験:書類選考
二次試験:面接+実技試験
■仕上げ
応募締切:6月30日
一次試験:書類選考
二次試験:面接+実技試験
■3DCGデザイナー、撮影(コンポジッター)
応募締切:7月3日
一次試験:書類選考
二次試験:面接、7月下旬もしくは8月上旬
クリエイティブ職では履歴書に加えてポートフォリオや作品、課題の提出があります。
詳細は採用ページにある希望職種の募集要項をチェックし、期日までに送付できるようにしておきましょう。
応募用紙や応募フォームについても採用ページに記載されています。
総合職については22卒の場合、履歴書のみが応募書類だったようです。
アニメ業界のインターン
アニメ業界の企業ではインターンシップがほとんど行われていません。
今後新しくインターンシップの実施を始める企業に出会った場合は、積極的に参加することをお勧めします。
Production I.G
Production I.Gの総合職インターンシップという位置付けで、2021年に初回が開催されました。
2022年に募集された内容としては、アニメスタジオで制作進行の業務を体験できるというもの。
アニメ業界のインターンシップ自体が少ない中で、制作現場を知ることができる貴重な機会といえます。
また応募に際してアニメーションやデザイン等に取り組んだ経験の有無は問われないので、アニメ業界が気になっている人にとって応募しやすいプログラムではないでしょうか。
◆概要
実施期間:2022年3月14日〜3月25日(12:00~17:00)
実施日数:2週間
実施場所:東京都(本社ビル)
募集人数:若干名
◆選考ステップ
書類応募:2月13日締切
オンライン面接:2月21日~3月4日
※書類選考通過者のみ
業界研究のやり方
業界研究においては大きく3つのステップで行っていくことで理解を深めることができます。
(1)業界全体を知る
世の中にある様々な業界ではどのような企業がどのような役割を担っているのかを大きく把握することで業界の概要を理解することができます。
代表的な企業名や職種についても調べて、自分が志す方向性を考えることがおすすめです。
(2)業界の深掘り
業界内のさらに詳しい現状や課題を調べます。
業界内の各企業の違いや、企業相互の資本関係・提携関係、業界内での業績推移、業界全体の成長の見込みなどをリサーチして、志望企業を絞り込みましょう。
(3)業界の動向把握
業界の動向をさらに細かく調べていくことで、各企業の状況を知り、自己分析と照らし合わせて具体的な志望企業・職種をまとめていきましょう。
アニメ業界の業界研究
(1)業界全体を知る
業界の概要
アニメ業界では、アニメに関わる機会を持つ会社はたくさんあります。
例えば映画会社、テレビ局、広告代理店、アニメ制作会社などはアニメの企画に携わっています。
アニメ制作会社が実際に絵を描いたり、色をつける作業をしたりといった実制作を行うのです。
そしてテレビ局や映画館で出来上がった作品が放映・上映されます。
アニメを制作する以外にも、アニメに関わることができる企業は多いです。
具体的にはアニメに登場するキャラクターグッズの販売、アニメのDVD化、ネット配信などで関わる企業が挙げられます。
玩具会社や文具会社、アパレル会社、ビデオソフトメーカー、ゲーム会社はアニメに関わることができる企業だといえるでしょう。
代表的な企業や仕事
アニメ業界の代表的な企業は「東映アニメーション」「トムス・エンタテイメント」「サンライズ(2022年4月からバンダイナムコフィルムワークス)」「ぴえろ」「Production I.G」「京都アニメーション」「日本アニメーション」「シンエイ動画」「スタジオジブリ」「オー・エル・エム」など。
アニメの実制作に関わることができる職種として、アニメーターというものがあります。
アニメ制作で思い浮かべられることも多く、実際に絵を描く仕事です。1つの作品で何百枚もの絵を描くことになります。
絵を描いたり色をつけたりなどの制作作業を行わない「制作進行」というものがあります。
クリエイティブな仕事以外の面でアニメが完成するまで制作工程の管理を行う職種です。
(2)業界の深掘り
市場規模や現状
アニメ関連の市場は右肩上がりです。
2020年の製作・制作会社売上による市場(狭義のアニメ市場)は2,744億円。
エンドユーザーによる売上(広義のアニメ市場)の市場規模は、2兆4,261億円でした。
アニメ市場の成長を牽引しているのは海外市場の拡大です。
海外市場が拡大している要因の1つとして、ネット配信サービスを通じて、日本のアニメを視聴できるようになってきたことなどが挙げられます。
NetflixやAmazonプライムビデオのような定額制動画配信サービスの利用者は世界でも年々増え続けているのです。
またアニメ関連商品の売り上げも、アニメ産業市場を支えてくれています。
例えばコロナ禍で映画の公開が延期されたり、小売店の休業、イベントの中止などはアニメ業界にも打撃を与えていましたが、キャラクター商品の市場はコロナ禍以前とほとんど同じ市場規模でした。
「鬼滅の刃」人気が大きな影響を与えていたようです。
大手グループのアニメ制作会社
人気のあるアニメ制作会社が大手グループの一員であることも珍しくありません。
例えば「サンライズ(現:バンダイナムコフィルムワークス)」はエンターテインメント企業グループであるバンダイナムコグループの会社です。
また、「Production I.G」と「WIT STUDIO」はジャスダック市場に上場しているIGポートの子会社です。
「名探偵コナン」や「アンパンマン」などを手掛ける「トムス・エンタテインメント」はセガサミーグループです。
(3)業界の動向把握
クールジャパン
『世界から「クール(かっこいい)」と捉えられる(その可能性のあるものを含む)日本の「魅力」。』をクールジャパンとしており、様々なジャンルがある中にアニメも含まれています。
政府は2010年には「クール・ジャパン海外戦略室」を経産省に、2012年にはクールジャパン戦略担当大臣の設置を行いました。
アニメに関連した取り組み例として、海外の人を取り込んで、地域を活性化させるためにアニメ聖地を発信するというものがあります。
海外のインフルエンサーを招へいし、モニターツアーを実施するなどが実施されました。
名古屋市「コスプレ・アニメを名古屋のブランド力を高める新たな文化として発信する」として、全市的にクールジャパン戦略に取り組んでいます。
2017年の内閣府による調査によると、欧州・アジアでは「アニメ・マンガ・ゲーム」が日本に興味を持った大きなきっかけを占めているようです。
デジタル作画
長年絵を描くのはアナログな作業だとされていましたが、デジタル化が広まった現在、デジタル作画が広まりつつあります。
デジタル作画による最大のメリットは作業の効率化だと言えます。
早く作業を完成させることができ、大量に絵を描く時間が短縮され、労働時間は短くできるのです。
また、デジタル化されるとデータで管理できるので、仕事をする場所を選ばなくて良いというメリットもあります。
2020年の時点でアニメ制作に携わる企業の8割以上が東京に立地しているのが現状です。
デジタル作画が普及し東京以外でも働けるチャンスが広がると、これまで東京にくるのが難しかったり、地方に住む人でもアニメーターを選択できる可能性が広がっていきます。
アニメ業界の面接対策・攻略法
アニメ業界の面接でよく聞かれる質問と回答のポイントを紹介していきます。
- 好きなアニメは?
- なぜアニメ業界を選んだのですか
- 当社を選んだ理由
- 学生時代に頑張ったこと
- 当社の作品は見ましたか?
アニメに関連したエピソード
アニメ業界の企業の選考を受ける場合、アニメに関連したエピソードを1つでも準備しておくことをおすすめします。
ほとんどの学生は過去にアニメに触れた経験を持っており、アニメ業界は割と身近な存在です。
アニメ業界を志す人は基本的にアニメが好きであったり、興味を持っているため、アニメに関する独自のエピソードを持っている人が多いです。
またアニメに関連した内容は、アニメ業界でないといけない理由にもなります。
そして実際にアニメと絡められた質問がされることもあるのです。
自分の好きなアニメ作品についてや、その作品に付随するエピソードを準備しておきましょう。
例えば、好きなシーンや心を動かされたシーン、その作品が年齢や住んでいる国が違う人との会話のきっかけになった、辛い時に助けられたなど人によってエピソードは様々です。
他にもアニメを使ってやってみたいことを伝えるのも良いでしょう。
またエピソードを用意することに加えて、自分が何を感じたり、考えたりしたのかといったことを付け加えることで、オリジナリティのある内容になります。
志望動機を明確にする
「アニメが好き」ということ以外の志望動機を明確にしておきます。
アニメが好きでアニメ業界を志望する人は多いので、他の人と差をつけるためにもアニメ好き以外の理由をはっきりと伝えられるよう準備しましょう。
各企業の作品の違いを自分なりに言語化しておいたり、アニメを使って入社後や将来やりたいことを伝えたりすることもおすすめです。
複数のアニメ作品を見比べて感じたことや志望企業の作品が自分の価値観に影響を与えた経験などは、志望する企業でないといけない理由にも繋がるのではないでしょうか。
アニメが好きだということ以外のことも伝えられると、アニメ業界を志望したことや志望企業を選んだ理由に説得力を与えてくれます。
対人スキル
対人スキルにはいろんな要素があります。
制作工程が細分化されていたり、企画段階から作品の完成後に至るまで、関わる会社の幅が広かったりするアニメ業界では、チームワークや、協調性などが特に求められているといえます。
面接ではチームワークを重視している学生であることや、協調性を感じられる学生であるとアピールできると良いでしょう。
他人と一緒に過ごしたり、何かに取り組んだりする中で、課題が生まれた際の対処法を棚卸ししてみると、自分が他人との関わり方の価値観に気づくきっかけになります。