【金融業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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「高年収のイメージがある」「安定している」といった理由で、文系の就活生から特に人気のある金融業界。
クレジットカード、證券、銀行、保険など金融業界には多くの企業が存在します。
そんな金融業界ですが、業界の現状や求める人物像、ESで見られている点は理解していますか?
ESを書く前に業界研究をしっかりと行い、どのような人材が求められているのか理解することが大切です。
今回は金融業界のESで実際に出た設問例をもとに、ポイントなどを紹介していきます。
金融業界の採用動向や面接対策について、詳しくは下記で紹介しています。併せてチェックしておきましょう!
- 【金融業界研究|2021年最新版】ESの書き方から面接対策まで徹底解説!
金融業界を志望している学生必見!金融業界の市場規模や課題、インターン情報、大手企業の採用傾向が一目でわかります。業界研究のポイントもわかりやすく解説。これさえ押さえておけばエントリーシートも面接対策もバッチリ!
目次
金融業界の現状
まずは金融業界の現状について見ていきます。業界を取り巻く環境は大きく以下の2点です。
①金融業界の主力である「銀行」と「生命保険」が2020年以降伸び悩む
金融業界は銀行、證券、生命保険、損害保険、消費者金融、クレジットカード、リースの7つに分けられます。
中でも規模的には銀行と生命保険の割合が大きく、これらが伸び悩むと業界全体の成長の鈍化に繋がります。
銀行は、このコロナ禍で貸倒れが増加した点や人口減少、地方過疎化に伴う手数料収入の減少により苦戦しています。
また生命保険も、コロナ禍で対面営業が自粛されたことにより新規契約数が伸び悩んでいます。
そもそも生命保険という商品自体が飽和状態にあるため、コロナ後も急成長することは考えにくいでしょう。
②「クレジットカード」、「ネット証券」はコロナ禍でも好調
証券は、コロナ禍により対面販売は振るいませんでしたが、ネット証券は好調です。
経済的な不安感から積立NISAやiDeCoを始める若者が急増し、ネット証券の口座開設数は堅調に推移しています。
またクレジットカードも、楽天市場やAmazonといったインターネット通販の拡大により利用者数が増加しています。
こうした流れはコロナ後も続くことが予想されます。
上記のような「コロナ禍で成長、衰退した分野の差が顕著になりつつある」という業界の現状を把握することで、業界が求める人物像も見えてきます。
今一度そうした視点を持って業界、企業研究に取り組みましょう。
金融業界のES設問例
1学生時代に力を入れて取り組んだことを教えてください(共通)
2最近、周りの人から受けた評価とその理由を教えてください(2022年 野村證券)
3証券営業という仕事の醍醐味、やりがいや難しさをどのようにお考えですか?ご記入下さい(2021年 大和証券 )
4入社後ご自身の強みを活かし、どのようなことに「挑戦」したいですか?(2020年 三井住友銀行)
5総合職として、日本生命で取組みたい分野・仕事の内容を記入ください。( 2022年 日本生命)
設問例1:学生時代に頑張ったこと
学生時代力を入れて取り組んだこと(ガクチカ)では、経験自体のインパクト、困難をどのように乗り越えてきたか、の2点が主に見られています。
ガクチカではよく「実績の大きさは全く関係ない。プロセスが大切」と言われますが、やはり実績は少しでも大きい方が面接官も興味を持ちます。
プロセスは当然大切ですが、現在大学で大きな目標に向かって頑張っている人は、より良い成果にこだわり追求することをおすすめします。
面接官に「もっと話を聞いてみたい」と思われることが重要です。
回答例
私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、Wi-Fiルーターの新規営業です。私は大学3年間、このアルバイトに励みました。アルバイトの給料が完全歩合制であったため、日々どうすれば購入して貰えるかを考え、営業を行いました。
しかし最初の半年は全く契約が取れず、何度も向いてないのではと落ち込む日々が続きました。しかし私の諦め癖の悪さのもと、どうすれば契約が取れるか論理的に考えることを始めました。
そこで契約してもらうまでのステップを4つに区切って考え、まずは認知してもらうことを最優先に目指しました。例えば、セールスの文言を試行錯誤したり、独自のチラシを作成してお配りするなどです。
このように、契約数を増やす方法を論理的に思考しながら営業を続けることで、少しずつコツを掴み、結果として2年目には営業成績月間1位を獲ることができました。この経験を貴社の営業でも活かします。
入社後も活かせる学びがあればベストです。
設問例2:最近周りの人から受けた評価
こちらの質問では、周囲の人からの客観的な評価が問われています。
自己PRではどうしても主観的な意見になりがちです。
企業側としても、本当にその強みを持ち合わせているのかESでは確かめようがありません。
そこでこうした「他者からの評価」が活きてきます。
他者からの評価は、コンテストや選手権で評価されたものでも、友達や家族から言われた何気ない言葉でも構いません。
大切なのは、他者からの評価と自身の評価が一致する(客観視できている)ことです。
回答例
私は最近「冷静に状況を判断することができる落ち着いた人間」という評価を受けました。これは所属するサークルの友達から学園祭で出し物をしている時に言われた言葉です。私は幼い頃から、感情を剥き出しにすることが苦手でした。予測できないことが起きた時も、「どうしてこうなったのか」と考え、冷静に対処します。
そんな中、学園祭でお笑いライブを主催することになり、有名なお笑い芸人を招待して集客に励みました。しかし学園祭の前日に、突如お笑い芸人が参加できなくなりました。サークルのメンバーは突然の出来事に驚き、諦めムードが漂いました。しかし私は「中堅芸人なら明日の予定が空いているのでは」と考え、一定の集客が見込める中堅芸人をリストアップし、事務所に電話をかけ続けました。
その結果、無事にお笑いライブを開催させることができました。以上の経験からも、私は周囲から「冷静に状況判断ができる人間」という評価を受けています。
客観的に自分を捉える能力は社会でも不可欠です。
設問例3:証券営業の醍醐味とは
こちらの質問では証券営業に対するあなたの印象、やりがい、難しさについて問われています。
もちろん学生時代に證券営業を経験することはできないので、あくまでイメージを記述すれば大丈夫です。
世間一般では、証券営業は「過酷なノルマがある」「飛び込み営業が基本」といった印象を持たれています。
しかしそれはあくまでもイメージであり、実際のところは証券会社で働く人に聞くしかありません。
そのため、こちらのESを記述するにあたってOB・OG訪問は不可欠です。
そこで聞いた話をもとに、自信の経験と併せて述べることが大切になってきます。
回答例
私は貴社の○○さんへのOB訪問を通じて、証券営業は「株価という流動的で不確実なものを、お客様へのコンサルティングを通じて資産の増大に貢献できる」「企業の資金調達をサポートし、日本の発展に貢献できる」という2つが醍醐味であると考えます。
私はOB訪問をするまで、證券営業が持つ社会貢献性について理解できていませんでした。OB訪問を通じて、「お年寄り、サラリーマン、主婦など様々な人が抱えるお金の悩みを、資産運用を通じて解決できる仕事」また、「企業が発行した債権を販売することで、資金調達という面から日本の発展に貢献出来る」ということを〇〇さんが繰り返し重大なこととして説明してくださったことで、自分なりに證券営業の意義を理解することができました。
以上のことから証券営業は、お客様のお金の悩みを解消する仕事であり、企業の発展への貢献ができる非常にやりがいのある仕事であると考えます。
またそれと同時にお客様の人生に大きく関わるため、コミュニケーションや人柄を重視される難しい仕事だと考えます。責任感と誠実さを持ち、お客様と向き合う姿勢を忘れずに取り組みたいと思います。
OB訪問を通じて、自信の考えがどのように変化したのか記述しましょう。
設問例4:入社後したい挑戦
こちらの質問では、入社後に挑戦したい事業や分野について問われています。
ポイントは、「ご自身の強みを活かし」という部分です。
ただ自身がやってみたい事業を述べるのでななく、「○○に挑戦したい。なぜなら○○という自分の強みを活かせるからだ」という流れで記述しましょう。
400字制限の中で自身の強みとやってみたい事業をおさめるのは非常に困難ですが、どちらかばかりを記述してしまわないように気をつけましょう。
回答例
私は御行に入行後、「変革や新しいことに果敢に挑戦できる」という自身の強みを活かし、「次世代決済プラットフォーム事業」に挑戦したいと考えています。
私はドラッグストアでのアルバイト経験から、常々「決済手段が乱立している」と感じていました。その結果、お店側の端末増加、生産性の低下に繋がっていると感じています。
そうした経験から、私は「新たな高付加価値サービスを提供する決済プラットフォームを構築」という目標を掲げている、こちらの事業に参画したいと考えています。
私には「不安を恐れず新しいことに挑戦できる」という強みがあります。この強みのもと、大学では学園祭実行委員としての活動や、日本一周に挑戦しました。特に学園祭実行委員では、アーティストライブという大学初の試みを、「従来のやり方だけでなく日々考え方を進化させる」という思いのもと、成功に導いた経験があります。この強みを活かし、御行でも新しいことに挑戦していきたいです。
400字という文字数の中で強みとやりたいことが、どちらもしっかり伝わるようポイントをしっかり押さえて記述しましょう。
設問例5:日本生命で取組みたい分野
こちらの質問では、日本生命で取り組みたい事業、分野について問われています。
各企業には、法人と個人の営業職、技術職、人事や広報など様々な職種が存在します。
企業側も、「ただただ入社したい」という就活生よりも「○○という思いを実現するために、○○を希望する」と考える就活生の方を重宝します。
なぜなら、明確なキャリアビジョンを持っている就活生の方が離職率が低いためです。
そういった企業側の思いを汲み取って、記述するようにしましょう。
回答例
私は貴社のリーテイル事業の個人営業として、生命保険を通じてお客様に安心を届けたいと考えています。
この思いに至ったのは、大学2年生の時に祖母が亡くなったことがきっかけです。残された私の祖父は昔から「保険会社が必ず儲かるようにできている生命保険には絶対に加入しない」が口癖でした。その結果祖母がなくなったタイミングで年金支給額が減り、晩年は困窮した生活を送っていました。
生命保険はお客様の安心をお届けする仕組みにも関わらず、このようにまだまだ保険会社に対する偏見が残っていると考えます。そこで私は、「貴社のリーテイル事業を通じて正しい保険の知識を知ってもらい、一人でも困窮する高齢者を減らしたい」という思いに至りました。
貴社は大企業のスケールメリットを活かして、死亡保険から3大疾病の保険まで、ありとあらゆる商品を取り扱っています。そのため、貴社であればお客様の悩みに合わせた商品を提供でき、私の思いを実現できると考えました。
以上の理由から、私は貴社のリーテイル事業を希望します。
なぜその職種を志望するのか、どういった経緯なのかを述べましょう。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
金融業界はどんな人材を求めているのか
業界が求める人材の特徴は下記2点です。
- 物事を論理的に考える力
- 常に先を見据えて行動できる人材
①物事を論理的に考える力
金融業界は言わずもがな数字の世界です。
そうした数字の世界では、感情で左右されない論理的思考力が必要になります。
証券会社であれば、株の値動きに合わせてお客様の資産を適切に運用しなければなりませんし、生命保険であれば、お客様の特性に合わせて最適な保険を分かりやすく説明する必要があります。
決して「数字が得意なロボット」を企業が求めている訳ではなく、「○○だから××」と論理立てて思考できる人材を求めています。
もちろんそういった力は他業界でも求められますが、日々膨大な数字を扱う金融業界では特に必要となります。
②常に先を見据えて行動できる人材
金融業界は仮想通貨、ブロックチェーン技術、Fintechなど現在変革の時期にいます。
5年前まで主流であった技術や考え方も日々アップデートされており、企業も取り残されないように必死です。
例えばメガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、ブロックチェーン技術を活用した次世代決済事業を手掛ける合弁会社「GLOBAL OPEN NETWORK JAPAN」を立ち上げています。
こうした環境下において、「現状維持」や「過去のやり方を踏襲する」といったやり方は通用しません。
したがって、そうした次世代技術にも果敢に挑戦してくれるような、常に先を見据えて行動できる人材が強く求められています。
もちろんその他にも見られるポイントは存在しますが、金融業界が特に求める人材は上記の2点です。
実体験を安直にそのまま記述するのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのために自分はどこを強くアピールすべきなのか」をしっかりと考えて、今一度自身のESを精査しましょう。