【リース業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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就活生に人気の高い金融業界の一端を担うリース業界。
再生可能エネルギー事業や海外展開を行なっている企業も多く、今後の成長が見込まれる業界です。
そんなリース業界ですが、業界の現状や求める人物像、ESで見られている点は理解していますか?
ESを書く前に業界研究をしっかりと行い、どのような人材が求められているのか理解することが大切です。
今回はリース業界のESで実際に出た設問例をもとに、ポイントなどを紹介していきます。
目次
リース業界の現状
まずはリース業界の現状について見ていきます。業界を取り巻く環境は大きく以下の2点です。
①国内市場は頭打ち
リース業界の市場規模は2012年以降ほぼ横ばいで推移しています。
そもそもリース業界とは、リース会社が顧客に代わって製品を購入し、それを貸し出すことで利益を得ます。身近なところではレンタカーや不動産、その他にも企業向けに産業機械、工作機械、航空機などを貸し出しています。
しかし、こうした企業の設備投資は、景気の動向に左右されます。企業も業績が伸び悩む中での積極的な設備投資は敬遠します。
そんな景気に左右されやすいリース業界ですが、日本経済はここ10年伸び悩んでいるため、リース業界の市場規模も2012年以降ほぼ横ばいです。
またコロナ禍の影響もあり、2021年の市場規模は減少に転じることが予想されています。
②加速するM&Aと再生可能エネルギー事業
リース業界ではM&Aが加速しています。M&AとはMergers and Acquisitionsの略です。 文字通り2つ以上の会社が一つになる合併、ある会社が他の会社を買収することを指します。
例えば、JA三井リースが新興国での売上を伸ばしている日本包装リースを買収したり、芙蓉総合リースがヤマトリースを買収したりと、大手リース会社がメーカー系リース会社を買収する流れが目立ちます。
これは大手リース会社がコロナ後を見据えて海外展開への準備を行っているためです。この流れは当分続くことが予想されます。
また国内市場が頭打ちを迎えたリース業界では、今後の成長に向けて再生可能エネルギー事業への参入が相次いでいます。
例えば、リース業界最大手のオリックスは2021年3月にグリーンコ・エナジーHDに出資、同年7月にはスペインのエラワンエナジーを買収しています。この2社は再エネ事業を世界的に展開しており、買収することで世界展開への一歩にしたいことが伺えます。
他にも業界2位の三井住友ファイナンス&リースは、2025年までに5000〜6000箇所の小規模太陽光開発を目指しています。
このようにリース業界は積極的なM&Aを通じ、再生エネルギー事業をはじめとする様々な分野に展開しており、今後の成長が見込まれます。
上記のような「国内市場は頭打ちだが、M&Aによってグローバルに再エネ事業を展開している」というリース業界の現状を把握することで、業界が求める人物像も見えてきます。
今一度そうした視点を持って業界、企業研究に取り組みましょう。
リース業界のES設問例
1自己PR(共通)
2オリックスに興味を持った理由(2021年 オリックス)
3周囲に影響を与えた経験について、その行動に至った考えや思いを踏まえて記述してください(2021年 JA三井リース)
4研究課題または重点をおいた科目(2020年 三井住友ファイナンス&リース)
5当社に入社して実現したいこと(2021年 NECキャピタルソリューション)
設問例1:自己PR
こちらの質問ではあなたの長所や、強みが活かされた具体的なエピソードが問われています。
企業が強みを問う意図としては「社風とマッチする人材を採用したい」「自身を客観的に見れている人材が欲しい」の2つが挙げられます。
特に新卒採用において入社後の離職率を下げることは重要です。そのため、社風と合わないと判断されると採用が遠ざかってしまいます。
企業がどういった学生を求めているのかを考えて記述しましょう。
回答例
私はリーダーシップを発揮できる人材です。学生時代には、大学祭実行委員長やゼミ長、サークル長など、リーダーとしての経験を積むことでリーダーシップを養うことができました。
中でもサークル長を務めていたテニスサークルでは、練習場所や時間が取れないこと、連携がとれていないために些細なことで問題が発生していました。そこで大学側に掛け合い、週2回の練習場所を確保し、時間を決めて活動するように変更しました。
また週末には翌週の活動スケジュールをメールで配信し、メンバーの参加状況も見える化することで、連絡漏れなどがないよう連携強化を図りました。結果、サークル加入数が前年の3倍になりました。
問題にしっかりと焦点を当て、迅速に対応し、周りを巻き込んで行動できるリーダーシップを貴社でも生かします。
困難をあなたの強みや能力で切り抜けた経験は、自己PRの説得力が増します。
設問例2:企業に興味を持った理由
こちらの質問では企業に興味を持ったきっかけとなるエピソード、経験が問われています。
ポイントは志望理由や入社後のキャリアプランといった未来のことではなく、業界や企業に興味を持った瞬間という過去を記述する点です。
また「企業説明会で良さそうだったから」といった受動的な理由ではなく、「○○という経験から業界に興味を持ち、中でも貴社が最も希望に近かった」といった構成で記述するようにしましょう。
回答例
私が貴社に興味を持ったきっかけは、アルバイト先で貴社製品を目にしたことです。私は大学の4年間介護施設でアルバイトをしました。ある日、貴社の「床走行式電動介護用リフト」がリース機器として施設に納入されました。私は介護機材は購入するしかないと考えていましたが、この出来事を通じてリース業界を知りました。
小さな介護施設では、日々進化する機材をその都度購入するのは困難であるため、リース製品には大きなメリットがあります。金銭的な負担が購入に比べ少なく、介護業界の深刻な人手不足も、最新の介護機材を用いることで解消できるのではないかと考えるようになりました。
貴社はリース業界で唯一法人向けロボットレンタルサービスを展開しており、最新の介護ロボットを研究、貸出を行っています。貴社でなら、私の思いを実現できると思い志望しました。以上が貴社に興味を持ったきっかけです。
あなたの経験や感じたことを細かく紐解き、具体性を持たせることで、より面接官に伝わるようになります。
設問例3:周囲に影響を与えた経験
こちらの質問ではあなたの人柄、性格が見られています。
誰しも人に影響を与えた経験や行動があると思います。例えば部活動のキャプテン、バイトリーダーの経験、サークル内での取り組みなどがあるでしょう。
もちろん些細な経験でも構いません。企業は経験の大小ではなく、あなたがどういった思いでその行動に至ったのかという思考や人柄を見ています。
こうした設問のためにも、自己分析を通じて経験の深掘りが欠かせません。
回答例
私が周囲に影響を与えた経験は、テニス部での仲違いを解決に導いたことです。
私は硬式テニス部の副キャプテンとして、チーム運営やキャプテンの補佐に励んでいました。しかし些細なことから2年生と3 年生が対立し、雰囲気が悪くなってしまいました。このままでは、団体戦においても影響が出ると考え、全員参加の運動会を企画し実行しました。
もちろん反対意見もありましたが、「チームを良くしたい」という思いを伝え、協力を仰ぎました。全学年をシャッフルしてチームの振り分けを行い、個人戦ではなくチーム対抗での競技を多く取り入れることで、学年の壁を超えて会話できるよう注意を払いました。結果、チームプレーのため自然と会話が増え、一丸となって戦うことで、仲違いも解消されました。
この取り組みにより縦の交流も深まり、団体戦においても好成績を残すことができました。このように周囲を巻き込み行動を起こすことで、大きな変革をもたらすことができることを学びました。(421字)
どういった思いで行動を起こしたのかが最も見られているポイントです。
設問例4:研究課題について
こちらの質問では、注力してきた研究課題と入社後その経験がどのように活かせるのかが問われています。
文系理系問わず、学生時代は様々な分野を学習して来たことでしょう。
企業側は学んで終わりではなく、入社後何かしらの形で活かして欲しいと考えています。例え志望する業界と全く異なる分野であっても、通ずるものは必ずあります。
どうしても浮かばない方は、一度教授に尋ねてみるのも手です。
回答例
私は大学で「訪日外国人と地方活性化」というテーマについて研究しました。具体的には過疎化が進む地方においてインバウンド需要を取り込むことは必要不可欠であると考えて、地域で埋もれた観光資源の活性化には何が必要かを研究しました。
現状日本の過疎化は深刻であり、空き家や放棄された耕作地の増加などの課題に直面しています。日本の人口は減少傾向であり、過疎地域にお金を循環させるにはインバウンド需要が欠かせません。
そこで訪日外国人を呼び込むためには何が必要かと考え、辿り着いた答えが「古民家民泊」でした。外国人の間で日本の平家や古民家は人気の一つであり、尚且つ空き家を有効活用できます。ただ空き家のリノベーションは費用がかかります。そこでリースや割賦をはじめとするファイナンスの力を活かせば、民泊を始める負担を減らすことができ、活性化に繋がると結論付けました。
こうした研究で得た知見を貴社の地域活性化事業でも活かします。
自身の卒論テーマや研究とリース業界がどのように繋がるのかをもう一度考えましょう。
設問例5:入社後実現したいこと
こちらの質問では、入社後に実現したいあなたの夢や将来的な目標について問われています。
ここで重要なのが、「会社は自分の夢や目標を実現するための手段である」という考え方です。
入社することが目標となっている就活生と、長期的な目標を持っている就活生では、入社してからもモチベーションが全く異なります。
企業は目標や夢を持つ就活生を採用するために、このような設問を出します。そうした点を踏まえつつ記述しましょう。
回答例
私は貴社に入社して「行政サービスのデジタル化を通じて、どこにいても簡単に手続きが全て完了する世の中」を実現したいと考えています。コロナ禍を経験し、このような思いに至りました。
緊急事態宣言期間中、所用で市役所に赴いた際、大変多くの人が列を成している光景に衝撃を受けました。特に感染すると高リスクな高齢者も密集せざるを得ない状況を目の当たりにし、「手続きを全てデジタル上で行うようにできれば、こうした不安も少なくなるのでは」と感じました。同時に未だにIT化が進んでいない自治体の状況を改善することで、利用者にとっても管理する側にとっても、効率的でスムーズな対応を進められると考えています。
貴社の官公庁・自治体向け営業部門は中央官庁や地方自治体向けにシステムのリースを通じて、より便利で簡単なデジタル行政サービスの導入に貢献しています。そのため貴社であれば私の「全ての行政上の手続きをデジタルで完了させる」という思いを実現できると考えました。
企業研究を入念に行い、より具体的に実現したいことを記述しましょう。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
1強み:あなたの強みは?
⇩
2強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
⇩
3強みを表す具体的エピソードは?
⇩
4強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
⇩
5強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
リース業界はどんな人材を求めているのか
- 従来のやり方にこだわらず、先を見据えて挑戦できる人材
- 周囲の人間と長期的な信頼関係を築ける人材
①従来のやり方にこだわらず、先を見据えて挑戦できる人材
リース業界の現状でもお話しした通り、リース業界の国内市場は頭打ちを迎えています。大きく縮小している訳ではありませんが、企業は次なる新規ビジネスを日々検討しています。
そうした環境下では、言われた事をそのままするだけの人材は求められません。
従来の「モノ」を貸し出すリース事業にデジタルやITを掛け合わせ、新しいビジネスモデルの構築ができるような人材を求めています。
もちろん就活生の段階でここまで求められることはありませんが、「新しいことをやってやる」という意識がある就活生は魅力的に映ります。
②周囲の人間と長期的な信頼関係を築ける人材
リース業界は新規開拓よりも従来の顧客と長く関わる傾向があります。
特に営業職を希望するのであれば、「誰にでも臆せず新規開拓します」という就活生より「これまでの顧客と良い関係を築き、安定した収益を出したい」という就活生の方が求められます。
またリース業界はリース契約が終了した後も、再度リース契約を結ぶことが多々あります。そのため個々のお客様に丁寧に接する態度、姿勢が重要です。
このようにビジネスの部分では新規事業や新しいアイデアが出せる人材が求められる一方で、顧客に対してはこれまでの付き合いや信頼関係を大切にできる人材が求められます。
もちろんその他にも見られるポイントは存在しますが、リース業界が特に求める人材は上記の2点です。
実体験を安直にそのまま記述するのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのために自分はどこを強くアピールすべきなのか」をしっかりと考えて回答しましょう。
リース業界を志望している人は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてくださいね。