【石油業界ES書き方ガイド】読まれるESのポイントを徹底解説!
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「人々のより良い暮らしを支えたい」「安定しているインフラ業界に入社したい」といった理由で就活生に人気な石油業界。
採用枠が少ないにも関わらず多くの就活生が志望するため、入社ハードルが高い業界です。
そんな石油業界ですが、業界の現状や求める人物像、ESで見られている点は理解していますか?
ESを書く前に業界研究をしっかりと行い、どのような人材が求められているのか理解することが大切です。
今回は石油業界のESで実際に出た設問例をもとに、ポイントなどを紹介していきます。
石油業界の採用動向や面接対策について、詳しくは下記で紹介しています。併せてチェックしておきましょう!
- 【石油業界研究|2022年最新版】ESの書き方から面接対策まで徹底解説!
石油業界を志望している学生必見!石油業界の市場規模や課題、インターン情報、大手企業の採用傾向が一目でわかります。業界研究のポイントもわかりやすく解説。これさえ押さえておけばエントリーシートも面接対策もバッチリ!
目次
石油業界の現状
まずは石油業界の現状について見ていきます。
業界を取り巻く環境は大きく以下の2点です。
①人口減少に伴う石油販売量の減少
日本は人口減少が急速に進んでいます。人口が減ると、必然的に石油を使用する人も減少します。
経済産業省によると2013年から現在に至るまで毎年販売量は下降しており、2020年は前年比8.5%減の1億5,129万キロリットルでした。
コロナ禍において減少幅は拡大しています。対して原油価格は年々高騰しています。
ニュースなどでもよく見かけますが、ロシアによるウクライナ侵攻を皮切りに世界的な石油の供給量が不足しており、需要と供給のバランスが崩れています。
このように、人口減少に伴い石油の販売量は年々減少している一方で、原油価格は年々高騰しています。
世界情勢に大きく左右されるのも、石油業界の大きな特徴です。
②石油から再生可能エネルギーへの転換期
世界的なSDGsの流れに伴って、石油業界の各社は再生可能エネルギー関連事業を展開しています。
再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどの温室効果ガスを排出しないエネルギー源です。
こうしたエネルギーを安定して供給するために石油業界の各社は、洋上風力の設置、メガソーラーの開発などを積極的に行っています。
また資源に乏しい日本では、海外からの輸入が主となる石油のみに頼らず、国内生産が可能な再生可能エネルギーを推進すべきという声も高まっています。
上記のような「石油のみに頼らない事業構造への転換期」という石油業界の現状を把握することで、業界が求める人物像も見えてきます。
今一度そうした視点を持って業界、企業研究に取り組みましょう。
石油業界のES設問例
1学生時代に力を入れたこと(共通)
2希望する職種を選んだ理由について記入してください。(2021年 ENEOS)
3あなたは周囲の人からどのような人物だと言われますか。(2017年 出光興産)
4当社で一番興味を持っている(希望する)職種・部門を選んでください(2016年 RSエナジー )
5エネルギー資源(石油・天然ガス)開発事業またはJX石油開発のどのような側面に興味を持たれたのか教えてください。(21年 JX石油開発)
設問例1:学生時代に力を入れて取り組んだことを教えてください
こちらの質問では、学生時代に力を入れて取り組んだことについて問われています。
こちらの質問は、ESだけでなく面接でも頻繁に問われる質問です。
企業がこの質問をする理由は、「主体的に行動し、充実した大学生活を過ごしていたか」「困難に対してどのように克服する人材かを見たい」などが挙げられます。
したがって、最も有効な就職活動の対策は「大学生活を充実して過ごすこと」であり、そのためにも大学生活を通じて様々な挑戦をすることが大切です。
回答例
私が力を入れて取り組んだことは、英語スピーチコンテストです。私は大学3年生の時に、英語スピーチコンテストで8位に入賞しました。
以前は英語が最も苦手な科目でしたが、テレビでコンテストを視聴し、「自分も人前で堂々と英語を話せるようになりたい」と考えました。大学入学後、本格的に英語学習を始めようとしましたが、アルバイトの収入は学費や生活費に消え、教材を購入するための資金が全くありませんでした。
そこで私は「無料コンテンツを活用」「英語スピーチ同好会に入会」「国際交流ボランティア団体に参加」など、お金をかけなくても、よりネイティブな発音を身に付けられる環境を整えました。
そして私の「継続力」という強みを活かし、1日3時間は英語を話すようにしました。その結果、大学3年の時に英語スピーチコンテストで8位に入賞することができました。
この経験から得た「厳しい環境下でも常にアイデアを模索する姿勢」を貴社でも活かします。
結果よりも過程に焦点を当てて、記述するようにしましょう。
設問例2:希望する職種を選んだ理由
こちらの質問では、希望する職種について問われています。
石油業界には、石油の精製や製造を担うエンジニアや研究職といった技術系とSS(サービスステーション)を運営する特約店などに石油製品の卸営業や提案、経営サポートなどを行う営業職、その他人事や広報といった職種があります。
文系学部であれば、ほとんどは営業職を希望されると思いますが、「なぜ営業職に携わりたいのか」を考えたことはありますか?
「募集職種が営業しかない」ではなく、営業を通じてどういったことを成し遂げたいのかを記述する必要があります。
回答例
私は貴社の営業として、地域SSの販売促進に貢献したいと考えています。この思いに至ったのは、大学のゼミ活動がきっかけです。私の大学は地方の山奥にあり、少子高齢化が年々進む地域にあります。そこで「どうすれば少子高齢化が進む地域で快適に生活できるのか」というテーマのもと、地域住民へのヒアリングや施作立案を行いました。
そうした中で、「人口減少が進み、不採算のコンビニやSSが撤退し必要な生活インフラが賄えなくなっている」という地方の現状を知りました。そこで私は、「特に車社会で不可欠な石油を通じて、地域の生活や産業を支えたい」という思いに至りました。
昨今、地方の採算が取れないSSは年々閉業しており、地元住民の方の生活や産業を支える石油が手に入れにくい現状があります。そこで貴社の営業であれば、効率的な石油販売促進、コンサルティング業務を通じて、地域のSSを守ることができます。以上の理由から、貴社の営業を志望します。
将来について記述する場合も、過去の経験や考えは不可欠です。
設問例3:周囲から見たあなたの人物像
こちらの質問では、あなたの性格や人柄を第三者による目線で問われています。
企業側としても、いくら自己PRで「○○という人間です」と話されても、それが事実であるかどうかは分かりません。
そこで効果的な質問が、第三者の目線です。
中には友人や家族に聞かず質問に答える人もいますが、面接中につじつまが合わなくなり、大きなマイナスとなるので、必ず信頼できる人に聞くようにしましょう。
これは他己分析とも呼ばれ、自身を知る上で重要なツールです。
回答例
私は周囲の人から「飽きっぽいが誰よりも行動力がある人間」と言われます。それを象徴する出来事が、大学で取り組んだサークルの会長としての経験です。
私はフットサルサークルの会長として、新入生の勧誘や夏合宿の企画などを行いました。特に新入生の勧誘は毎年力を入れており、大学4年生の時には、前年比1.5倍の勧誘を目標としました。最初はビラ配りを続けていましたが、思うように効果が出なかったので、履修相談会を開催し同時に勧誘するという施策に挑戦しました。
またその方法でも限界があると考え、次はInstagramの広告掲載に挑戦しました。このように私には「効果が出ない、デメリットが大きいと判断すれば、すぐに次のアイデアへ挑戦する」という考え方が根底にあります。
その結果、周囲の人からは「継続的に物事を進めるよりも、次々と新しいことに挑戦する人」と認識されています。
自分の認識と他人から見た人物像は異なる場合が多々あります。
設問例4:一番興味を持った部門
こちらの質問では、あなたが一番興味関心がある職種・部門について問われています。
設問例2では文系の職種について取り上げましたが、こちらでは主に技術職について取り上げます。
営業や人事といった文系職種は、基本的にポテンシャル採用であると言われています。
つまり即戦力というよりは、「活躍してくれそうな人材」が求められます。
対して技術職の場合は、あなたが大学で研究した成果や詳しい分野を見て、採用の可否が判断されます。
したがって、「学生時代に学んだ○○分野を貴社での研究に活かしたい」と記述する必要があります。
回答例
私が貴社で最も興味を持っているのは、インフラ開発の中の資源開発部門です。
私は大学でエネルギー工学について学習しました。エネルギー工学では、特に石油を効率的に取り出すための技術について研究を進めました。これらの知識を活かして、日本における資源開発に携わりたいと考えています。
そもそも石油は89.6%を輸入に頼っており、今回のロシアによる侵攻など世界情勢に影響を受けやすい産業の一つです。そこで、まだまだ日本に眠る石油を効率的に採取することができれば、私の「人々の生活を支える社会貢献度の高い仕事に携わりたい」という思いを実現できると考えました。
また、貴社は石油業界の中でも、日本における石油産出量が最も多く、石油の自給率向上に大きく貢献しています。したがって、数ある石油業界の会社の中で貴社の資源開発部門を志望しました。
以上が私が貴社の資源開発部門を志望する理由です。
希望する職種を記述するのに加えて、なぜ貴社なのかも添えると印象が良くなります。
設問例5:企業のどういった側面に興味を持ったか
こちらの質問では、企業のどういった側面に興味関心を持ったのかが問われています。
一見すると志望理由と似た質問ですが、今回問われているのは「興味を持った側面」についてです。
決して、長々と志望する理由を記述しないようにしましょう。
飲料や食品といった身近な存在のサービスであれば、興味を持ったきっかけも記述しやすいです。
しかし石油という普段あまり意識しない業界を志望するということは、何かしらのきっかけがあるはずです。
今一度、「なぜ石油業界なのか」を考えてみましょう。
回答例
私は貴社の「CCUSプロジェクトを通じて、CO2排出抑制と原油増産を両立する」という側面に興味を持ちました。
私自身、大学のボランティア活動を通じて「地球温暖化を防ぐために、企業はどのようなことに取り組むべきか」と常々考えてきました。時には海面上昇により島の消滅が危ぶまれる国へ赴き、現地の方と対話を繰り返してきました。その結果、「世界的な企業が先頭に立ってCO2削減する流れを作るべき」と考えました。
一方で、最近のロシアによるウクライナ侵攻に伴う原油価格の高騰に危機感を覚えています。そんな中、貴社は上記プロジェクトにより油田の生産量を日量約300バレルから大幅に増加させるとともに、大気中に放出されるCO2を削減しています。
したがって、貴社であればSDGsに貢献しながらも、生活に欠かせない石油の産出量向上に携われると考えました。以上が貴社のCCUSプロジェクトに興味を持った理由です。
各企業が現在どういったプロジェクトに力を入れているのか、調べることが重要です。
自己PRの書き方
自己PRの本質
自己PRとは「自分の強みや長所を企業に伝える場」になります。
ただ単純に自分の強みや長所を伝えるのではなく、企業の求める素質を理解して自身の強みをどのように活かせるかを伝えることが重要となります。
評価の高い自己PRにするには、まず自分の強みや長所をきちんと理解することが大切になります。
また、自己PRを書く上で、企業がなぜ自己PRを聞くのか知っておくことが必要です。
企業が自己PRを聞く意図は2点あります。
1人柄を知る
企業は自己PRの内容から、企業に応募者の人柄を把握して企業と合った人材かどうか判断しています。
企業の社風にマッチした人材であれば活躍イメージが湧きやすく入社後の成長も期待できます。
逆に企業とのマッチ度が低い場合は早期退職の可能性があるため積極的な採用はされません。
2自己分析ができているか知る
自己PRは自分の強みや長所を伝える場なので、自分自身について理解していることが重要となります。
自己分析がしっかりしていればきちんと自分の強みを伝えることが出来ます。
しかし、自己分析ができていない場合は就職活動への真剣度は欠けると思われ、企業への志望度も低いものだと判断されます。
自己PRを書くためのポイント
求める人材に即した「強み」を決定する
企業へ自身の強みを伝える場合、企業のビジネスモデルを理解した上でどのような強みを求めているかを考え、自分の経験などに結び付けて伝えるようにします。
自己PRは大きく分けて3つに分類することができます。
- 個人として努力し、成果を上げることができる
- 関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行うことができる
- 今までにない仕組みや企画を提案し、周囲と協力しながら実現できる
アピールしたい「強み」を論理的に述べる
上記でまとめた自身の強みをより企業に対してわかりやすく伝えるために、下記の流れにまとめるとスムーズです。
(1)強み:あなたの強みは?
↓
(2)強みの原点:強みが形成されたきっかけは?
↓
(3)強みを表す具体的エピソードは?
↓
(4)強みの方法論:強みを発揮するために意識していることは?
↓
(5)強みの活かし方:その強みを入社後にどう活かすか?
引用:unistyle
※自己PRを書く際のポイント
・注意点 ・アピールする強みに再現性を持たせること
・学生時代に頑張ったことと混同しないこと
・書き出しと締めの部分を意識すること
石油業界はどんな人材を求めているのか
石油業界全般的に求める人材の特徴として下記が挙げられます。
- 自ら情報収集し、主体的に行動できる人材
- 新しいことに挑戦できる人材
①自ら情報収集し、主体的に行動できる人材
石油業界は世界情勢に最も影響されやすい業界の一つです。
最近でもロシアによるウクライナ侵攻に伴って、原油価格が高騰しています。
こうした環境下で仕事をするためには、常に「これから世界はどのように変わっていくのか。そのために自分は何をすべきなのか」と主体的に考え、行動する力が求められます。
②新しいことに挑戦できる人材
「石油業界の現状」でも述べた通り、現在石油業界の各社は再生可能エネルギーへの転換期を迎えています。
これまではひたすら石油を売りさばくことで大きな利益を上げてきましたが、今後は石油だけに頼らないエネルギー源の確保が求められます。
そうした中で、営業職や技術職として採用されるためには、「新しい事業に挑戦してくれそうな、積極性のある人材」が求められます。
したがって、ESでガクチカを記述する際も、「これまでの伝統や文化を踏襲することに重きを置いた」よりも「失敗する可能性もあったが、恐れず一歩踏み出した」といった経験の方が、採用担当者には刺さるでしょう。
もちろんその他にも見られるポイントは存在しますが、石油業界が特に求める人材は上記の2点です。
実体験を安直にそのまま記述するのではなく、「どういった人材が求められているのか」「そのために自分はどこを強くアピールすべきなのか」をしっかりと考えて、今一度自身のESを精査しましょう。